2014年10月2日木曜日

最後の外来の日、のキセキ

大学病院最後の外来。

前日に、この産科10か月のことを想った。

ある時期、本当に、分娩が怖くてしかたなった。

でも、続けてこれたのは、素晴らしい出会い、お産に出会え、微力な自分の力も少しずつ認めることができたから。

ああ、あの人はどうしているだろう。この家族はあの笑顔でいるかしら。と。
私にとっても、お産はonly oneの積み重ね。

最終外来の日。
あるお母さんが赤ちゃんを連れてきてくれた。

Iさんは、睡眠薬依存、不安が強い方だった。妊娠して婚約者をすごしていたけど、言葉のDVを受け、シェルターに避難。シングルマザーの道をえらんだ。
でも、不安が閾値をこえるたびに、救急受診をして、ココロの不調が、とーっても強くでていた。
私は、外来で、あかちゃんはIさんの味方であること、健康であること、我慢せず不安を口にして相談すること、徐々に大きくなるおなかに話しかけて、気持ちよく過ごすこと、の提案を。
分娩の時は、叫びながらスッキリお産。

一か月健診の時には、実は睡眠薬のまなくなりました!と堂々たる姿に変身。

実は、この日が最後の外来であることは知らなかったらしい。
私もびっくり。
この日がラストチャンス。偶然じゃなくて、何かに引き寄せられたな、と思った。

すっかり大きくなり、ムチムチにそだった赤ちゃんは6kgになっていて、笑顔を向けると本当に幸せそうな両エクボの笑顔を返してくれるベッピンさんになっておりました。

顔をあげると、Iさんも両エクボの同じ笑顔。

ああ、赤ちゃんは、Iさんの笑顔を真似しているんだな、幸せなんだな、と感じて、胸がいっぱいになった。
自由に行こう!モンゴル♪

・・・分娩は、運命を変える。

伴走者の声掛けで、限界を少し超えていけるもの。

妊娠期間の過ごし方で、精神的な強さ、自分を大事にする方法に気が付き、堂々と、自分の道をあるいていけるようになる。